2021/12/12 14:02

はちみつとは

パンケーキにたっぷりかけて食べたり、料理の甘味として利用したり、はちみつは古くから利用されてきました。古代エジプトのレリーフにはすでに養蜂の絵が描かれているといいますから、はちみつは私たち人間に恩恵を与えてくれていたのですね。


はちみつと一口にいっても、ミツバチがどの花から蜜を採るかで味や香りが異なります。そして、ミツバチが花から花へ飛び回り花の蜜を巣に持ち帰り、しばらく巣の中に貯蔵しておくことで蜜の水分が蒸発して甘くて美味しいはちみつになります。世界中には4000種ものはちみつがあるといわれているのですよ。


ミツバチはどのように蜜を集めるか

はちみつはミツバチが作りますが、決して人のために作っているのではありません。蜂の巣の中で成長する蜂の子どもたちの栄養源になるほか、ミツバチたちの食事にも利用されます。そのため、食べるための保存食であり、大切な子どもたちの食べ物でもあるわけです。

ミツバチは花の蜜を採ってきては巣に貯めるのですが、ただ花の蜜を巣においておくだけではちみつにはなりません。ミツバチの体内にある酵素などが花の蜜を分解してあの甘くおいしいはちみつになります。

・ミツバチが花の蜜を集めて巣に貯める
・水分が蒸発するように羽ばたきで水分を飛ばす
・花の蜜の水分が80%から20%くらいまで下がる
・美味しいはちみつの出来上がり!

またはちみつは商品によって色も香りも味も異なります。それは「集めてくる花の種類」によって蜜の特徴が違うからです。一般的にミツバチは1つの花の蜜を集めますが、稀に花が少ないと別の花の蜜を巣に持って帰ることもありますよ。

主に、菜の花やレンゲ、みかんの花など様々な花から蜜を集めてきます。周辺の花によって変化するはちみつは、様々な商品が売られていますので、味や香り、色など変化を楽しみたいですね。


様々な種類のはちみつと特徴

はちみつは「ミツバチがどんな花から蜜をとってくるか?」それによって様々な種類があります。はちみつにはどんな種類があり、どんな味なのかご紹介します。


さくら




山桜
山桜は種類によって白い花びらだったり、ピンク色だったり、花の色もそれぞれです。山桜の中でも特にミツバチが好むといわれているのが「オオシマザクラ」といわれています。花びらの色はほぼ白。香りが強い桜なのでその香りに引き寄せられたかのようにミツバチが集まります。ちなみにオオシマザクラはソメイヨシノの父親にあたります。母親はエドヒガンザクラ、この交配によって生まれたのがソメイヨシノです。山桜によって早咲きと遅咲きがあり、ミツバチが蜜を取るのも一苦労です。山桜が近くになければ採蜜できないため、希少なはちみつといわれています。
・ソメイヨシノよりも香りが強い
・山桜の種類によって味が異なる


れんげ




日本原産のはちみつといえば、れんげのはちみつ!まろやかで料理にもお菓子にも使えるはちみつです。癖のない味なのでそのまま食べてもいいですね。れんげのはちみつは「はちみつの王様」と呼ばれることもあり、日本人になじみの深いはちみつです。淡い黄金色をしているれんげのはちみつはブドウ糖含有量が多めで、結晶化がみられることもあります。万人受けするはちみつを選ぶなら、れんげのはちみつがおすすめです。

・癖がない
・まろやかな口当たり
・ほのかにれんげが香る
・淡い黄金色


菜の花




春の花の中でも鮮やかな黄色でよく知られた花です。菜の花のはちみつは味が濃く、甘味が強いのが特徴です。ミツバチたちは足に菜の花の花粉をいっぱいつけながら飛び回り巣に戻ります。そのため、花粉の栄養をたっぷり含んだはちみつとなるのです。ブドウ糖がとても多いため結晶化しやすく、保存におすすめのはちみつといえます。

・濃厚で強い甘み
・結晶化しやすい
・花粉がたくさん含まれていて栄養価が高い


マロニエ




マロニエはちみつは山の奥深く、自然の木に咲く「トチの花」から採蜜されます。トチの実は独特のにおいとくせがあり、そのままで食べることはありません。しかしはちみつになるとその独特のくせがなくなり、華やかでいい香りのはちみつとなります。レンゲや菜の花のはちみつなどと比較してみると色が薄いのですが、味は重厚です。養蜂家の中でも作っている方が少ないため、希少価値の高いはちみつです。

・重厚でコクのある味
・結晶化しにくい
・華やかな香り


ハゼノキ

野山に咲くハゼノキから採蜜されるはちみつです。ハゼノキは古くから日本の和ろうそくの原料に利用されてきました。自生するハゼノキが少なくなったこともあり、ハゼノキの単花蜜として販売しているところは少なく、はちみつの中でも貴重といわれています。はちみつの中でも香りが特徴的です。甘さが控え目ですっきりした味わいなので、パンにつけてそのままいただくのもおすすめ。シナモンのようなさわやかな香りがパンやホットケーキなどにもよくあいます。このはちみつの香りが癖になる人も多いとか。

・樹木の香りが特徴的
・コクとさわやかな甘み
・後味がさっぱり
・シナモンのような味わい


香りが良い本物のはちみつを使いたいシーン・レシピ

人工甘味料などをプラスして作ったはちみつも売られていますが、本物のはちみつは香りがいいのが特徴です。その香りを活かしたはちみつのレシピを紹介します。本物のはちみつを入れるだけで特別なお料理になりますよ。


レシピ1 本物のはちみつを使った「酢玉ねぎ」

酢が苦手という方もいますが、はちみつを入れることでまろやかになり食べやすくなります。材料も玉ねぎと酢、それにはちみつのみなので、ぜひ試してみてください。

材料
・はちみつ
・酢
・玉ねぎ

手順
1: 玉ねぎをスライサーなどでなるべく薄くスライス
2: 酢を鍋に入れて沸騰させる
3: はちみつを入れる
4: 酢が冷めないうちに玉ねぎを入れてよくかき混ぜる
5: 瓶やタッパーに入れる


冷蔵庫で1週間くらいは保存できます。そのまま食べるのもよし、サーモンとあえて食べても美味。また南蛮漬けの際に利用してもいいですよ。本物のはちみつのいい香りがふんわりと香ります。


レシピ2 本物のはちみつで香り豊かな前菜

お酒のおつまみにさっと作ることができる簡単なレシピです。はちみつの香りとコクを活かしたおしゃれな1品は、ワインにいいですね。

材料
・はちみつ
・クリームチーズ
・生クリームか牛乳
・生ハム
・パセリ(フレッシュでも乾燥でも可)

手順
1: クリームチーズと生クリームを混ぜる
2: フレッシュパセリをみじん切りにする
3: 生ハムで①をまく
4: さらに並べた③の上にみじん切りしたパセリを飾る
5: はちみつをかける


クリームチーズ、生クリーム(牛乳)をねっとりするくらいに混ぜます。生クリーム(牛乳)を少しずつ加えて、ペーストよりも少し固めに仕上げてください。それを生ハムで巻きます。お皿に乗せたら生ハムの上に細かく刻んだフレッシュパセリか乾燥パセリをぱらぱら。その上から本物のはちみつをかけます。はちみつの香りとクリームチーズ・生ハムの塩気がたまらない1品ができます。


レシピ3 本物のはちみつを使ったポテサラ

ポテサラはご家庭それぞれの味があると思います。そこにちょっと本物のはちみつを食わせて、いつもとは違うワンランク上のポテサラを作りませんか?

材料
・じゃがいも
・玉ねぎ
・にんじん
・ハム
・きゅうり
・マヨネーズ
・酢
・塩
・こしょう

手順
1: いつものポテサラを作る
2: できあがったポテサラにはちみつとレモン果汁を入れて混ぜるだけ!

ジャガイモをゆでるかレンジでチンして皮をむきつぶします。酢(フレンチドレッシングでもいい)を少し入れて混ぜておくとマヨネーズの味がなじみやすくなりますよ。ジャガイモをゆでている間に玉ねぎを薄くスライスし、レンジで少し加熱して辛みをとっておきます。人参、きゅうりは薄くスライスしてお好みで塩もみしてもいいですし、そのまま混ぜてもいいです。ジャガイモの粗熱が取れたら人参、キュウリ、玉ねぎ、ハムなどを混ぜてポテサラの完成です。
そこに!はちみつとレモン果汁を入れてよく混ぜます。本物のはちみつを使うと香りがよく、まろやかな味を楽しめます。


既製品のはちみつではなく、香りが良い本物のはちみつの良いところ

水あめや人工甘味料を入れたはちみつではなく、ミツバチが頑張って集めて作った本物のはちみつは「香り」も「コク」も違います。本物のはちみつの良いところを知れば、本物のはちみつを食べてみたくなりますよ。

良いところ1:本物のはちみつは花の香りが強い

はちみつにブドウ糖やショ糖などを加えて作る加糖はちみつは確かに甘いのですが、本物のはちみつのように、何ともいえない自然の花の香りがしません。ミツバチは花から花へ飛び回り蜜を巣に持ち帰り、蜜は巣の中で熟成します。

とってきたばかりの蜜は水分が多いのですが、ミツバチは羽ばたきで水分を飛ばし、しっかり熟成したはちみつを作るのです。この純粋なままのはちみつはふわっと花の香りがします。本物のはちみつはミツバチがどの花の蜜を採蜜してきたのか、それによって香りが異なるため、香りの違いも楽しめますよ。

良いところ2:花粉や酵素など栄養価が高い

緑が少なくなり、野山に自然の花が咲き誇っている場所が限られていることもあり、本物のはちみつは少なくなっています。養蜂家も手間暇をかけて本物のはちみつを作り販売するより、人工甘味料などを加えて濃度の薄いはちみつを作る方が楽です。しかし濃度が低くなると、ミツバチが蜜と共に集めてきた栄養素まで薄くなってしまいます。

ミツバチは沢山の花から蜜をとりますが、その時、足に花粉を一杯つけて巣に戻ります。花粉はミツバチにとって副菜のようなもので、重要なたんぱく源です。たんぱく質のほか、ビタミンやミネラルなど豊富な栄養を含みます。本物のはちみつにはこの花粉が含まれているため栄養価の高いはちみつとなるのです。

また花から採蜜した蜜はミツバチの蜜のうというところに貯めて巣に持ち帰って、巣にいる他のミツバチに口移しします。ミツバチの体内の酵素によって花蜜が果糖・ブドウ糖に変化し、さらに羽ばたきにより水分を蒸発させることで熟成されるのです。本物のはちみつには、この酵素も豊富に含まれています。

良いところ3: 花によって「違い」を楽しめるのが本物のはちみつ

本物のはちみつは高いと思う方が多いでしょう。確かに、スーパーへいけばはちみつが売っていますが、本物のはちみつを食べてみると全く違うと感じと思います。花の香りがしっかりするのはもちろんですが、はちみつの色、濁り、それに風味もはちみつによって違うのです。

スッキリ爽やかで癖がないはちみつもあれば、コクがあり香りがとても強く癖があるけど病み付きになるはちみつもあります。いくつか本物のはちみつを並べてみると、採蜜した花の違いで色もかなり違うのです。強めの黄金色、薄い琥珀色、ほぼ透明に近いものもあります。ただ甘味を与えてくれるものではなく、本物のはちみつはミツバチたちが自然の中で作るからこそ、色も風味もまったく違うのです。